血液の役割
全身の血液量をご存じでしょうか。一般には、体重の7~8%が血液だと言われています。体重60kgの方だとおよそ4・5Lの血液が体中に張り巡らされた血管を巡っています。血液の役割は、主に「酸素や栄養」の運搬ですが、他にも「ホルモンの運搬」、「免疫機能」、「代謝物の運搬」、「体温の運搬」、その他にも「体液の浸透圧維持」や「pHの維持」など多くの機能を持っています。また、健康診断などで必ず血液検査を行うように、血液には、いろいろな情報が詰め込まれています。
つまり血液は、体の状態を映しだす鏡であり、健康状態を知るための大切なツール。生物学的にも健康の指標としても重要なものです。
つまり外的な要因(食べ物の種類や腸内細菌)に影響を受けやすい成分であり、また、これらの成分は血液の質を大きく左右します。例えば、酸素を運搬する赤血球の柔らかさを決定するのもこれらの成分です。つまり栄養成分の入り口となる「腸」の状態・環境が、血液の質に大きく関わってくるのは、容易に想像がつきます。血液の質は、「食べた物」と「腸の状態」で決定すると言っても過言ではありません。
第3章の「吸収」でも触れられている「リーキーガット症候群」。腸の粘膜が正常に保てなく、穴が空いてしまっている状態です。このような状態は、消化が不十分な大きな分子が血液に入り込むことにつながります。2008年発表の論文(*1)では、1回の大量の飲酒(*2)で血液中に細菌由来の毒素(エンドトキシン)量が急速に増加すること、さらに細菌のDNAが検出されることも報告されています。このような大きな分子や細菌の血液への流入は、全身の炎症やアレルギーにつながる可能性があります。
また、血液中に含まれる低分子成分の36%は腸内細菌に由来するという研究者もいます。(*3)つまり、腸内細菌も含めた腸の環境が血液中に含まれる成分に影響するということです。
血液には、成分を選択する能力はありません。腸や肝臓から、あるいは全身細胞からの成分を取り込み、ひたむきに運搬する誠実な運び屋さんです。誠実であるが故に、慢性的な腸の不調で体の毒素がたまっていると、それも取り込んで運搬します。肝臓の負担が増えるだけでなく、肝臓で処理しきれない場合は、全身を巡ることになります。栄養素の取り入れ口であり、かつ解毒や排泄の最前線である腸を健康に保つことは、血液をキレイに保つ上でもとても大切です。腸の健康を維持することは、「浄血(血液をキレイにする)」の第一歩。これまで説明してきた「消化」、「吸収」、「排泄」、「解毒」のすべてがととのい初めてキレイな血液の源となります。キレイな血液は、全身の細胞をイキイキさせ、肌ツヤだけでなく、全身の健康をサポートします。腸の活動をコントロールする自律神経のバランスをととのえることも忘れずに。
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